えびす・だいこくマラソンギリギリ完走記(平成29年5月28日)  辻本雅夫

 アルペン芦山辻本雅夫さんからの便りです。

  2017年5月28日(日)、「えびす・だいこく100キロマラソン」 を走ってきました。
 島根半島の東端、美保関にある美保神社から西端の出雲大社まで100キロを走るウルトラマラソンです。

 美保神社はえびす様の総本社、出雲大社は大国主大神(転じて大黒様)を祀るのでこのように名付けられました。前半はアップダウンが激しい日本海沿いの風光明媚なコース。後半は宍道湖を眺めながら割合フラットな道です。
 走るのは11回目。個人で10回完走すると「えびす・だいこくの神様」という恐れ多い称号がもらえ、僕は昨年10回目を完走したので今回から「神様」です。固定ナンバー「22」の青色のゼッケンです。

 4月下旬に風邪を引き、38.5度の熱が出てしんどかったのですが、1日休んだものの、その後の詰まった日程をこなして、5月の春山合宿に突入。その結果、いつまでもすっきりせず咳や痰が出ます。そんなことでトレーニング量が全く足りず、出走をためらっていました。しかしせっかく申し込んだのだし、神様初年度でもあり「行けるところまで行こう」と出走を決めました。
 スタートは05:30。03:40に送りのバスが出るので起床は02:30。睡眠不足で受付へ。ゼッケンを受け取るとき「神様!」と祝福してくれました。ウン、いい気分。わずか5人で始まった大会は最近大人気で、1人で走る個人に584人、2~5人でリレーするチームも合わせて1633人がエントリーしています。うち「神様」は21人。沿道の応援の人たちも結構青色ゼッケンを知っていて「神様頑張れ」と声が掛かる。心して走らねばなりません。
 5キロごとのラップと通過時刻を入れた割合綿密な「皮算用」を作ります。今回は13時間42分でゴールする計画です。皮算用がないと、早いのやら遅いのやら途中で分からなくなります。

 朝から雲一つないピーカンで、この時期のマラソンには厳しい天気です。でも午前中は木陰の多いコース。皮算用通りに走れました。
 56キロの鹿島エイドで少し休んでいよいよ後半。ここから日陰がありません。まだまだ時間はあるし「行けるところまで」とまずは75キロにあるしじみ汁がいただける津ノ森を目指しました。15:40着。実はここまであまりに暑くてペースが落ち、完走を諦めたのです。しじみ汁をおかわりし水をかぶり、トイレにも行き、15分も休んでしまいました。時間はあるので85キロの平田の関門か、95キロの遙堪の関門までゆっくり行って、初めてのリタイヤもいいか。

 もう走ってるのは個人ばかり。チームの走者交代や応援が賑やかだったコースはひっそり。ここから自分との闘いです。ウルトラの最後の方はとてもつらくて、1人きりでは走れません。誰かと一緒に話しながら、あるいは話はしなくともお互い励まし合って走るのがコツです。今回は広島県府中市のカープ女子と、神戸から来た女子が相手になってくれました。
 80キロ過ぎにカープ女子が登場。「まだゴールできますか」 と聞く。皮算用を見て「5キロ37、8分のペースで走れば間に合う」と答えました。これは全く正しい計算です。そのときのペースは5キロ41分を過ぎていました。「目標のペースはこれぐらい」 と結構長く走って見せました。すると僕も結構走れるのです。さっきまで暑くてとても持たないと思っていたのに、夕方が近づいて少し気温が下がったのでしょう。ではもうちょいこのペースで行ってみようか。まだ気持ちの半分は平田か遙堪でやめるつもり。

 約5キロごとにあるエイドでは、頭から水をかぶって生き返るのですが、すぐ乾いてしまいます。家の前で洗車ホースで水を掛けてくださる方がいます。ほんとにありがたい。生き返りました。
 平田が近づき、まだ走れています。神様だし、なんとか完走するぞ、と気持ちが切り替わりました。この頃神戸女子登場。この人は僕より走力があります。でも初めての参加で今ひとつ自信がないみたい。「ゴールできますか」 と聞いてきます。あらためて皮算用を眺め 「このペースで十分行ける」。
 平田から次の遙堪の関門まで10キロ、1時間20分あります。これがとても遠く感じられましたが、神戸女子にだいぶ引っ張ってもらいました。
 遙堪を過ぎて残るは5キロ、時間は42分。細かいアップダウンが連続し、スピードが上がらない。いよいよ締め切りが近づいて焦ります。女子2人は若いので少し先行してゴール。大きな自信になったことでしょう。
 僕も2人がいたおかげで、制限時間14時間のところ13時間58分07秒のギリギリでゴールできました。(辻本さん記)

                                                             
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